アサガオを君へ

夏樹は私の方を見ないまま。


栄治だけを見つめていた。


「ねぇ」


耐えられなくて声をかけた。


でも夏樹は私を見てくれない。


その代わりに夏樹は口を開いた。


「栄治は本当に俺にそっくりになったな。昔は左右でもなかったのに。まるで俺が運動してるみたいだ」


私はギュッと夏樹の制服の裾を掴む手に力を入れる。


それに気付いてるはずなのに。


何で私を見てくれないの。


ねぇ、何で?


「私は、ここにいる夏樹が好きだよ」


声に力が入る。


『あそこ』にいる夏樹には興味がない。


フッと夏樹が笑った。


私も笑いたかなかったけど、笑えなかった。


どうにか夏樹にこちらを見て欲しくて、焦って言葉を口から吐き出した。


「何撮ってたの?」


「空が綺麗だったから。でも栄治がいるのに気付いて、見てた。あいつは、相変わらず走るの速いな」