春都の抱きしめる腕に力が入る。

「そうだよね。思春期の男の子ってそんなもんだよね」

半ば諦め気味に吐き捨てた言葉。

「違う!!」

大きな声にびっくりして、春都の顔を見上げる。
すごい真剣な眼差しをしていた。

「摩耶だから……。摩耶だからこうしてたいんだ」

「え!?」

驚く私に、春都の言葉が続く。

「摩耶はイヤ?」

くっついた体から、春都のはち切れそうに早い鼓動が伝わってくる。

そんなの、イヤなわけないよ。
だって、春都だよ。
ずっと想っていたのに。

嬉しすぎて、言葉にならないくらいに嬉しすぎて私は首を振ることしか出来なかった。

「ちょ、泣くなよ」

焦ったような春都の声。
滲む視界は、その顔を捕らえることは出来ない。


いつの間にか、あれだけ激しかった雨の音は止んでいた。