「香澄ー!」


大親友の神奈が私の名前を呼びながら走ってくる。

ドスッ!

神奈が涙を浮かべながら私に抱きついてきた。いつもは大人しくて控えめな神奈なのに。

「え!?神奈どうした!?何があったの!?」

「……。」

「ほら、言ってごらん?」

そういうと、神奈は私から離れ、


「…教室で、怖い話してた。」




「え?それだけ?」

「香澄にとってはそうかもしれないけどー!!私にとっては大事件なの!!」


確かに神奈は昔からこういうのはダメなタイプだった。

よく怖い話をしては泣きそうになってたっけ。


「…それで?どういう話だったの?ww」

「えっとね…」

神奈は怖い話がダメなくせに、怖い話が大好きな私のために必死に思い出そうとしている。

「確か…うちの学校の噂で…【千代】?だっけな?そんなかんじの…

「…!その話聞いたことある!!もっと詳しく教えて!!!」


神奈が話したのは私達の学校で広まっている【千代】という噂話だった。

「神奈っ!さっきいたところに戻るよっ!この話の続きが聞きたい!!」

「でも…」

「大丈夫だって!単なる噂だし!!それに私がついているでしょ?」

「…うん!わかった。」

「じゃあ、しゅっぱーつっ!!」