今日のセレイアは、なんとなく様子がおかしい、とは思っていた。

落ち込んでいる様子なのは、状況が状況なだけに仕方がなかった。けれどそれだけではない、何か切迫した感情のようなものを、セレイアは抱え込んでいるような顔をしていた。

けれどそれが何かはわからなかった。

何かあったのだろうかとは考えた。

けれど、思い当たる節がないのだ。

いつから様子がおかしくなったか考えてみても、いつのまにかとしか言いようがない。

だからきっと、仲間たちのことを案ずるあまりそうなっているのだろうとディセルは結論付けたのだ。

それが間違いだった。

きちんと、彼女に問うてみるべきだったのだ。

そうしていれば、きっとこんなことにはならずに済んだのに…。

夜半、町はずれの野営地でふと目覚めたら、隣にセレイアの姿がなかった。

不思議に思いあたりを探してみても、姿がまったく見当たらない。

―セレイアが消えた。

サティエイトでセレイアがさらわれてしまった事件が、まざまざとディセルの脳裏に蘇った。

「セレイア!!」

ディセルは闇の中を、セレイアを探して駆け出した。