王都の隣町の大通りは、一番賑わう昼時を迎えていた。

「そろそろどこかで昼食を買おう」

外套のフードをしっかりおろしたディセルが、同じくフードで顔を見えないようにしたセレイアの肩を引き寄せながら、そう提案した。

正直なところセレイアはもうおなかぺこぺこだった。

今日は朝から何も食べずに、情報収集に励んでいたからだ。

なるべく顔を覚えられないようにと、あまり店には近づかず、買い物は最小限に抑える、それが今の二人の方針だ。

けれど腹が減っていてはいざというとき戦えないのも事実。

とういうわけで、二人は軽食屋台で、カレーナンをふたつ購入した。

「おいしそうだね」

セレイアに笑いかけるディセルの顔をちらりと見て、店主は首を捻った。

「ん? あんたら、どこかで見た顔だが……」

「!!」

二人は慌てて屋台から遠ざかった。

…危ない危ない。

皇宮に侵入して以来、二人は立派なお尋ね者になり、手配書も出回っているのだ。