関所に近づくにつれ、その不安は大きくなる。

鎧兜を着込んだ兵たちの、物々しい姿がずらりと門前に並んでいるのが見えたからだ。

関所を抜けようとする旅人の数は予想より多い。

だが皆、セレイアたちと同じく少し不安そうな顔つきをしている。

兵たちに誘導されるまま大扉の脇にある建物の中に入ると、一人一人に職務質問がはじまった。

かなり、長い時間がかかっている。持ち物検査までされているようだ。

セレイアたちの順番がまわってきた。

まず尋問の兵が、純白のプミラを見て露骨に眉をしかめた。

「お前たち、北からの旅人だな。こんなところまで何をしに来た」

セレイアはなるべく堂々として見えるよう、背筋を伸ばして答える。

「人探しの旅をしています。戦争で生き別れになった、兄なのです」

真っ赤な嘘ではあるが、こう言った場合仕方がない。

「そうか」と通してくれるかとおもったが、そう甘くはなかった。

ねちねちと言葉を変えて、何度も似たようなことを質問してくる。そしてこちらが少しでも言いよどんだりすれば、さも怪しいと言うように責め立ててくるのだ。

正直、一行は誰もがこの国への心証を悪くした。

長い時間の後でやっと通行を許可されたセレイアたちは、尋問官に信じられないことを言い渡された。