麗雪神話~幻の水辺の告白~

ボリスはシルフェの手を引き、村の広場まで来ると、変装を解いて、何やら持参してきた「お立ち台」のようなものを設置し、その上に立って大声を上げ始めた。

「皆の者!
聞いてくれ!
俺は憎きレコンダムの敵、名はボリス! 政治家だ!
今日は皆に話があってやってきた!」

ざわざわと、なんだなんだと囁き交わしながら、広場にいた人々がボリスに注目して立ち止まる。

(わっ、よく響く声)

シルフェも思わず、逃げることも忘れてボリスに注目してしまった。

気になったのは、その言語だ。

シルフェに理解できる言語と、きっとリッツェンと言う国のものなのだろう理解不能な言語と、ふたつの言語で同じ内容を二回話しているようだ。

人々の視線が十分に集まったことがわかると、ボリスは朗々と声を張り上げて話し始めた。

「貴国リッツェンは、伝統と歴史ある、素晴らしい国だ。
しかし我が国の憎き国王レコンダムによって、伝統も歴史も何もかもを踏みにじられてしまった。
文化も、言語すらも否定され、建物は壊され、書物はすべて焼き払われてしまった。
こんなに残酷な所業が、許されてよいのか。
レコンダムがこのままの勢いでどんどん他国を併呑し、歴史も文化も燃やし尽くしていくのを、ただ黙って見ていていいのか!」