二人はそれから何時間もサラマスやシルフェを待ったが、彼らが帰ってくる気配はなかった。

不安な気持ちを抱えながらも、夜明けが近づいてきた頃、二人はそれぞれに別室で休むことにした。

眠ろうとしても、なかなか寝付けない。

それはサラマスとシルフェのことが心配だからと言うのもあるが、それよりもディセルのことを考えてしまうからだった。迫り来るディセルとの別れのことを。

ディセルに、何か言うべき言葉があるはずだという気がする。

けれどそれはなんなのか、わからない。

…わかりたくない?

(ディセル……)

もう何度目になるかわからない寝返りを打った時。

セレイアの肌がしっとりとした独特の空気を感じ取った。

はっと目を開けると、視界が紫色に煙っている。

セレイアは急いで身を起こし、隣室へと駆けこんだ。

「ディセル! 起きて! 霧よ!」