不意に命知らずの男が炎の中に飛び込んできた!

サラマスは目を丸くする。

生身の人間にとって、炎が熱くないはずがないのに!

男はやけどを負いながらも、速度をゆるめず、一気にサラマスの間合いに迫ってきた。

ひゅんと、風を切る音。

これは―剣だ。

そう認識する前に、体が勝手に動き、男の剣をサラマスは短剣で弾いていた。

正確無比な一撃だった。

もしも認識してから動き出していれば、死んでいただろう。

(こいつ…できる!)

予想外の強敵の出現に、サラマスは焦る。

「何者だ!」

思わず誰何すると、男は四十がらみの顔を笑みの形に歪ませ、名乗った。

「我が名はプラトー。レコンダム様の腹心だ。死ね! 侵入者!」

重そうな鎧兜に身を包んだプラトーは、全身から滲み出る闘気からして尋常ではない。

まともに戦って勝てるかどうか…。