そのサラマスは、その頃プミラと共に大暴れしていた。

彼らを捕えようとする衛兵たちが、怯えはするが死にはしない程度の位置に灼熱の炎を飛ばし、威嚇する。

あたりは灼熱の海。

むろん、炎の神サラマスの炎であるから、用事が済めば簡単にすべての炎を消すことができる。よって遠慮なく、人々が慌てるように、あちこちを火の海にすることができた。

「おらおらどうした~!
侵入者一人やっつけられないのかてめえらは~!」

「きゅ~!」

心なしかプミラも悪い顔つきになっている…気がする。火遊びは、動物でもはしゃいでしまうのだろうか。

衛兵たちが輪のようにサラマスたちを取り囲んではいるが、炎に阻まれ手も足も出せないようだった。

(そろそろ引き上げ時か)

ひとしきり暴れまわり、サラマスがそう思った時だった。