緊張の面持ちで、三人が寝台に近づいていくと………

隣室から人の歩んでくる気配がした。

咄嗟に三人が隠れる場所を探した時、ゆったりとした声が室内に響き渡った。

「ふふ、ようこそ、侵入者さん方…。
やはり、あやつの言った通りであったな」

鷹揚に言いながら、声の主は近くの女神の彫像に寄りかかってこちらを見つめていた。

彼は口元やあごにひげをたくわえていても、なお美しいと感じさせる端正な顔立ちをしていた。そして月明かりに浮かび上がるその瞳は、獰猛な獣のように隙がない。

全身から滲み出る風格が、彼の正体を物語っている。

「あなたが…皇帝レコンダム?」

「…いかにも」

レコンダムは心底楽しそうにそう答えた。

それを聞いた瞬間、ディセルが力を使った。

彼が逃げられないよう、彼の足を凍らせたのだ。

しかしレコンダムは、少しも動揺を見せず、むしろ楽しむような表情を変えない。

何が彼にこれほどまでの余裕を与えているのだろうか。

「お前たち…あやつの仲間であろう?
そう、“神”と言ったか。ふふ、なんともすさまじい力を持っているようだ」

セレイアは思わず表情を険しくした。

…正体がばれている。

それは危険ではあったが、セレイアはこの機を利用することにした。知っているなら話が早いのだ。