麗雪神話~幻の水辺の告白~

サラマスはいまだに皇帝から離反できていない。ブレスレットだけは「長い間放置しておくことはできない」と言いくるめてなんとか取り返したが、皇帝やプラトー、ヴェインの目を欺いて逃げ出すのは、容易なことではなかった。
こうなっては仕方ない。仲間のふりをして同行し、隙を見て行動不能にすることで、陰謀を止めるしかないと、サラマスは思っていた。

昨日と約束した仲間たちとの待ち合わせ場所には、結局行くことができなかった。

が、ゲートが開くこの森にいれば、きっと会えるはずだ。むこうも待ち合わせ場所に現れなかったサラマスを、捜してくれているだろうから。

「そろそろ休憩にいたしましょう陛下」

「そうだな」

プラトーの声掛けで一行は頻繁に休憩を取る。そのたびに、引き連れてきた侍従たちが敷物を広げ、茶や菓子の準備を始める。夜であれば、獲れた得物を豪快に料理することもある。

至れり尽くせりの狩りである。

皇帝のそば近くには、プラトーだけでなくヴェインも控えているので、サラマス程の力の持ち主でも簡単に手出しはできない。

今日ももう日は沈みかけていた。

このまま夜になってしまえば、いつゲートが開くかわからない。

その前に彼らを行動不能にしなければ…。

サラマスが隙を求めてレコンダムとヴェインの様子を探っていると、不意に、風が動いた。