「…ですからね。油断は禁物ですが…」

ヴェインが何か話し続けている。まだ、こちらに気づかれていないようだ…。

「わかっている。
だが、いよいよだな、ヴェインよ」

(―――――! この声、相手はレコンダムか!?)

サラマスは驚愕に目を見開き、ますます息を殺して耳を澄ませた。

何か重要な情報が聞ける、またとない機会だった。

レコンダムが、感慨深げに言う。

「長かった…そなたと出会ってから、いつも夢見ていたのだ。
この人間界を飛び出して、天上界をも我がものとする夢を」

(…………!!?)

「その夢が、もうすぐ叶うのだな。
扉が開きさえすれば、こちらのもの。
ヴェイン、扉が開くのはこの国で一番神聖なる場所、狩場の森で間違いないのだな?
実は違いましたでは済まされぬぞ」

「間違いないことです、陛下」

「天上界には力の強い神々がいると聞いたが、大丈夫なのだろうな」

「はい。僕の霧で神々など一網打尽にしてご覧にいれます」

サラマスは声をあげそうになるのを、なんとかこらえていた。