麗雪神話~幻の水辺の告白~

数日後、満月の日はやってきた。

ゆるやかに雨を降らせることで、この満月の光で夜の虹をつくるのだ。

それにアクセサリーをかざし力を集めると、天上界への扉を開く、合図を送ることができるという。

数日の間、レインスがどこかにふらりと出かけたっきり、もう戻ってこないのではないかと心配だったが、彼は夜には必ず戻って来て、共に眠った。

正直、それがセレイアにはありがたかった。ディセルと二人きりの夜は、気まずくてたまらなかったからだ。

ディセルはその間口数が少なかった。

何かを思いつめているようにも見えた。

念願叶い、故郷へ帰れる人の顔にはとても見えなかった。

けれどそれはセレイアも一緒だった。

旅の目的をようやく叶えることができる人の顔には見えないほど、気落ちした顔になっていたと思う。

そんなこんなでついに訪れた満月の夜。最良の月が出るまで、セレイアはペンダントを指先でもてあそび、ぼーっとしていた。

「…今だね」

レインスがそうつぶやき、片手を振り上げた。

すると――――

さあっと、冷たい霧雨が空から落ちてきた。

その霧雨が満月の光を受けて、きらきらと夜闇に輝く虹を生む。

それはまるで幻。夢の中でしか見られない現象のよう。

またたく星々を背景に、虹色が空を駆ける。

とてもきれいな光景なのに……

セレイアの心は晴れなかった。