「ディセル……」

自分は今、どんな表情をしているのだろう。

どんな表情をすればいいというのだろう。

ただ、ディセルの真摯な瞳から、目を逸らせないでいる。

するとディセルの片手が、セレイアの頬をそっと包み込む。

愛しいものに触れるように。

そして彼は顔を傾け、羽が触れるような優しいキスをした。

その瞬間、胸の痛みでセレイアの瞳から涙が零れ落ちた。

湧き起こったのは胸の痛みだけではなかったのに、セレイアはそれを無視した。そうするほかなかった。

なぜなら、自分は。

「ディセル、私は………」

彼にちゃんと伝えなければならなかった。

彼の気持ちが真摯であればあるほどに、ちゃんと。