初恋の甘い仕上げ方



「そういえば、夏に海に行ったときにできたシミは消えたのか?」

「え?」

「樹や園子さんと一緒に泳ぎに行ったときに焼けてできたシミ。消えたのか? 美白用の化粧品ばしゃばしゃ塗ったって言ってたよな」

「えっと……手入れの甲斐なく消えてません。今でも背中を鏡で見ると、ちらほら残ってる。年も年だし、きっとこのまま消えないと思う」

私ですら普段は忘れているのに、夏にできたシミのことを覚えていたなんて、驚いた。

毎年恒例の海水浴は私が小学生の頃から続いているけれど、今年も兄さんと園子さんとで出かけた。

翔平君のご両親が所有する別荘で過ごす二泊三日は私にとっては特別な時間で、毎年楽しみにしている。

この夏も四人の都合を合わせて楽しい時間を過ごしたけれど、真夏の太陽の下で泳ぐということは、日焼けとの戦いでもあり大変なのだ。

子どもの頃は気にすることもなかったのに、年齢を重ねるにつれてシミも増え、日焼け止めを塗ってもいつもその戦いに負けている。

負け戦だとわかっていても、翔平君と一緒に過ごせる時間との引き換えなら、何度でも負けてやる。

なんて意気込みも、背中を見るたびため息に変わるんだけど。

今年の夏のシミも、今でもその存在感を放ちつつ私の背中に鎮座している。

そのことを翔平君は思い出したようだ。