初恋の甘い仕上げ方





重苦しい雰囲気にならないよう、明るくそう言って、翔平君の眉間にできた皺をそっと撫でた。

「正確に言えば、雨じゃなくて傘が苦手だってこと、知ってるし」

「……だよな。この五年でかなり平気になったけど。雨の日の出張すらできずにいた俺がどうにか傘を見ても気持ちを落ちつけられるようになったし」

「うん。それも兄さんから聞いてる。傘が苦手な自分を克服しなきゃ、夏の日傘だらけのオフィス街は歩けないって言って頑張ったんでしょ?」

「あいつ、まじでしゃべり過ぎ」

翔平君はちっと舌打ちし、私の肩に顔を埋めた。

首筋にかかる吐息と一緒に翔平君の額がぐりぐりと揺れて肩が痛い。

そんな甘えた仕草が嬉しくて、私もその背中に腕を回して抱きつくと、同じように目の前の胸元にぐりぐりと額を押し付け、くぐもった声でつぶやいた。

「私もとっくにシミが気になる年頃だから、夏のデートには日傘が登場するからね」

軽い口調で話したつもりだけど、どこか探るような声音は隠せなかったのか、翔平君の手が、私の気持ちを察したように、背中を撫でてくれた。