端からみれば、恋人同士がばかみたいにいちゃついているとしか思えない時間を過ごしていると。
「うまかった。疲れてるのにありがとうな。今度は俺が何か作るから、といっても簡単な男料理だけど。あ、鍋でもするか……それより、ここには土鍋はあるのか?」
翔平君はぶつぶつ言いながらキッチンを見回すと、何を見つけたのか表情を緩めた。
「あのコーヒーメーカー、樹からのお祝いか?」
「そうだよ。翔平君がひとり暮らしを始めたときにもお祝い代わりにあげたって言ってたけど」
「これ、値段のわりに優秀なんだよな。だからお祝い何がいいって聞かれて俺がリクエストしたんだ」
翔平君はそう言いながら振り返った。
「粉は?」
「あ、ちょうど今朝切れちゃって。今日帰りに買おうって思ってたのに、翔平君に捕まったから買えなかった」
アマザンホテルの近くにコーヒーの粉を売ってくれるおいしいカフェがあるって聞いて、帰りに寄ろうって思っていたのに、結局それどころじゃなかった。
「くくっ。それは災難だったな。まあ、粉よりももっといいものが手に入ったから機嫌直せ」
拗ねているのが顔に出ていたんだろう、子どもを諭すように、翔平君が言った。

