初恋の甘い仕上げ方






我慢の限界を超えて、自分の想いをコントロールすることをやめたらしい大人のオトコは、私が恋に落ちた頃の大学生のオトコにも見えた。

まだ子どもだった私をただ「かわいい」という目で見ていたあの頃の、単純な優しい表情。

キッチンでいそいそ動いている私について回る翔平君が新鮮で、そしてその状況が泣きそうなくらい嬉しくて。

ケチャップを持つ手が震え、背中に感じる翔平君の体温に溶けそうになりながら、どうにか作り終えたオムライスをテーブルに並べた。

オムライスにハートを描きたかったけれど、震える手ではうまく描けそうになくて、諦めた。

「うまい。手際もいいし、成長したな」

四人用テーブルの向かい側でなく、何故か隣りに座った翔平君に視線を向けた。

隣りに座っただけでなく、わざわざ椅子の位置を私のそれに近づけるなんて。

「翔平君?」

「え? いいだろ別に。今まで距離を作っていた時間を取り戻すために、これから精一杯萌のそばにいることにしたから」

「……あの」

「いいんだよ。悩むな。萌が俺に惚れていて、俺も萌の気持ち以上に萌に惚れてるってことだけで今はいいだろ」

そ、そうなのかな。

もちろん私は翔平君に惚れていてそのキャリアは二十年近くという諦めの悪さ……じゃなく一途さ。

アマザンホテルからの帰り道以来、まるでお付き合いを始めたばかりの恋人同士の高い温度を体現しているような距離感が続き、私は戸惑っている。

絶えず体が触れ合っているなんてこと、そうしたいと思って意識しなければありえないし。