啄むように、そして私の気持ちを気遣うような優しいキスが何度か繰り返されたかと思うと。
「キスも、できなかったのか?」
どこか嬉しそうな翔平君の声。
「うん。今どき挨拶代わりにキスする高校生もいるっていうのに。どうしても、できなくて、情けない」
「付き合ってたオトコは萌に何もしようとしなかったのか?」
「何度か、キスしようとは……。でも、私がギリギリで逃げちゃって、できなくて。優しい人だったから、無理強いはされなかった」
「俺にしてみれば、『萌、よくやった』だけど、その男はつらかったんじゃないのか?」
「今となってはわからない。でも、無理矢理キスしたり抱きたくなるほど私のことを好きじゃなかったのかもしれないし、私が最初からそうならないようにガードしていたのかもしれない」
私が話しているときも尚、変わらず近すぎる翔平君の唇が気になる。
言葉を紡ぐたび、翔平君の唇が私の唇をかすめるのが恥ずかしくてたまらない。
翔平君はこんなこと慣れているのかあまりにも自然で、その仕草もさまになっているけれど。
この年になって初めてキスを経験した私にはなかなかハードルが高いのだ。
「翔平君、あの、話しづらい」
それに照れくさい。
「我慢しろ。キスしながら話すなんて、恋人同士じゃ当然のことだぞ」
「で、でも私たちは恋人じゃない……っん、ふっ、や、やだ」
「嫌じゃないだろ。恋人じゃなくてできないっていうなら、俺の恋人になればいい。恋人どころか、俺の嫁になりたくないか?」
「よ、よめ……」
「俺のことが大好きな萌は、俺の嫁になって、俺の側で一緒に笑っていたいんだろ?」
「あ、あの、それは嬉しいけど、でも。どうして突然……?」
戸惑う気持ちを隠せないまま聞いた。

