初恋の甘い仕上げ方



 



翔平君が結婚すると聞いたのは一週間前。

兄さんが酔っぱらって実家に帰ってきたとき、ぽろりとそのことを口にした。

両親の結婚記念日が近く、私もプレゼントを持って実家に帰っていた。

『とうとう翔平も決めたみたいだ。ずっと好きだった女と結婚するって言ってたぞ。

あの様子じゃ結婚式の招待状が届くのも時間の問題だな』

うわごとのような言葉は、そろそろ寝ようと思っていた私の眠気を一気に吹き飛ばすほどの衝撃を与え、その晩は悲しくて眠れなかった。

“ずっと好きだった女”

それは三崎紗和さんに違いない。

翔平君の整った見た目とデザイナーとしての才能に惹きつけられる女性は多く、兄さんから話を聞いたり、偶然見かけたりしてその何人かの姿は記憶にある。

けれど、三崎紗和さん以外の女性と長く付き合っていたことはないと思う。

学生時代を含め、いつも短い付き合いに終始し、翔平君の気持ちを本気にさせる人に出会う機会がなかったのか、見かけるたびに違う女性に腕を組ませていた。

だから、“ずっと”という言葉を口にするということは、結婚しようと考える人はひとりだけ。

三崎紗和さん以外考えられない。

とっくに覚悟しわかっていたことだとはいえ、いざ翔平君が結婚を決めたと聞くと、想像していた以上に胸は痛む。