もしかしたら、私が大人になったときには私を選んでくれて、そして。
「愛してるよ」
そう言ってもらえるんじゃないかという錯覚に似た思いを抱くようになった。
翔平君の恋人が何度も変わるのなら、いつかは私だって。
冷静に考えればありえないとわかる望みを捨てきれないまま、私は未来は明るいと信じて生きてきた。
大学在学中も、少しでも彼に近づこうと努力した。
さすがに国内最高学府の大学を卒業して、デザイン事務所としては最大手の事務所に就職した翔平君の人生をそのまま踏襲することはできなかったけれど。
就職した今の事務所では人間関係にも仕事にも恵まれて、かなり楽しく仕事に励んでいる。
ここまでの私の人生のほとんどは翔平君に導かれたものだけれど、それは私が勝手に追いかけてきたにすぎなくて、翔平君が私を誘ってくれたわけでも、待っていてくれたわけでもない。

