「あの頃のことを、覚えてるのかな」
ソファに並べたたくさんのチョコの中から、リボンの絵が描かれているチョコを手に取り、そっと撫でた。
ピンク地に白い水玉のリボンは、私が一番気に入っていたリボンで、男の子にいたずらされて汚れても、身に着けていた。
事情を知らない同級生に「汚れたリボンしか持ってないの?」とからかわれても、そのリボンを身に着けては翔平君を身近に感じていた。
意地になっていたのもたしかだけど、当時の私にはそのリボンはとても大切なものだったのだ。
それに似たリボンの絵を見ていると、次第に目の奥が熱くなる。
翔平君を好きだという気持ちだけに素直になれて、追いかけることも、会いに行くこともためらうことなくできた子どもの頃に戻りたい。
『運動会のかけっこで一等賞獲ったら遊園地に連れて行って』
『苺がいっぱいのパフェを一緒に食べたい』
今なら決して言えないことをなんでも言えたあの頃が、懐かしい。
ソファに並んでいるチョコをひとつずつ手に取り見る。
おいしそうだな、と思いながらも食べる気にはなれなくて、ひたすらパッケージを見ているだけ。
「こんなにたくさんデザインしちゃって……」
胸がぐっと痛くなる。

