初恋の甘い仕上げ方






いつか本気で好きになれるよう、祈りにも似た思いで付き合っていたけれど、やはりそれは私の身勝手な感情だった。

銀行マンの宿命ともいえる転勤が決まり、いい機会だからさようならしようと言ってくれたけれど、翔平君の存在が私の中から消えないことに気づいていたに違いない。

これ以上一緒にいても、私の気持ちは変わらないと思ったのかもしれないし、彼自身、私に熱烈な愛情を持っていなかったのだろうとも思う。

私が彼に強い気持ちを持つことができたのならば状況は違ったのかもしれない。

けれど、どうしようもなかった。

初めての恋人との別れを経験したあと、翔平君への恋心が消えない限り、誰とも付き合わないと決めた。

それが半年前のこと。

それ以来、恋人ができたこともないし、今もその影はまるでない。

恋人とふたりで過ごすアマザンホテルのスイートなんて、夢のまた夢だ。

たとえスイートでなくても、夢だけど。

今は、延々と続くローンの返済に立ち向かうため、仕事に精を出さなければならない。

せっかく縁をもらって就いた仕事だし、長く続けていきたい。