私がマンションに入るまで、帰ることなく私を見ていた翔平君の視線には気づいていた。
きっと、部屋の中も確認したかったに違いないけれど、こんな深夜に押し掛けるほどの強引さはなかったようだ。
部屋に入り、ベランダからそっと下を覗くと、こちらを見上げる翔平君の姿があった。
薄暗い街灯に照らされ、はっきりと確認できたわけではないけれど、翔平君が、寂しげな表情で私を見上げているような気がした。
けだるそうに立つその姿を何度見つめただろう。
遠くからでも後姿を見るだけですぐにわかる大好きな人。
兄さんが隣りに立っていても、誰よりも一番に目に入るのが翔平君だった。
私の気持ちに気づいていただろうけれど、もちろん受け入れてもらえることはなく、彼の隣りにはいつも綺麗な大人の女性が立っていた。
モデルさんと並んで街を歩いているのも何度か見たことがあるし。
小学校から翔平君の側にいれば、そんな女性を見かける機会は何度もあって苦しかった。
私がどれだけ翔平君を好きでも、きっと私を好きになってもらえることはないと、わかっていてもどうしようもなかった。

