私、何か翔平君の気に障ることでも言ったかな。
そりゃ翔平君にしてみれば、私のような頼りない女の子がマンションを買うだなんていい気分じゃないのかもしれないけど。
悩みに悩んだ私の決断が間違っていたとは思わない。
兄さんは、いずれは結婚して実家で両親と同居するって言ってるし、そうなったら私がそこに居座るわけにはいかないし。
翔平君への気持ちを吹っ切りたいという気持ちとともに、私の居場所を確保しておきたかったというのも理由のひとつだし。
義姉となる予定の園子さんとの仲は良好だけれど、だからといって私が実家にいればお互いに気を遣うだろうし、実際に部屋数だって足りない。
そして、もしもこのまま一生独身でいるとしても、十分生活ができる。
セキュリティが充実している点も私には重要ポイントで、賃貸にはない安心感とともに即決。
これから長く続くローンの支払いは大変だけど、後悔はしていない。
「じゃ、もう遅いから帰るね。翔平君も気を付けて帰って」
その後も私への尋問を続けようとする翔平君を振り切るようにその場を離れた私は、背後から私の名前を呼ぶ声に振り向くことなくマンションに入った。

