初恋の甘い仕上げ方






まあ、たしかに、女性のマンション購入が増えたとはいっても、ここは実家からも車で十分程度。

通勤時間が極端に短縮されたわけでもなく、実家を出るはっきりとした理由もないとなれば、翔平君が不思議に思うのも当然かもしれない。

とくに、家族みんなから甘やかされて育ってきた私が家を買ってひとり暮らしをするなんてピンとこないのだろう。

「私が住んでるのは、2LDKだし、お値段もそれほど高くないタイプの部屋だからなんとか買えたの。あ、でもね、やっぱり人気が高い物件だったから、倍率なんて六倍だったのよ。その抽選を見事にクリアしたのはいいけど、しばらくは運もお金も何もないのよね」

ふふっと笑ってそう言うと、私の腕を掴む翔平君の手はさらに強くなった。

ぎゅっと握られた私の腕は、その強さに痛みを感じ、思わず顔をしかめた。

そんな私の様子に気づいているはずなのに、翔平君は不機嫌な声で。

「なんで、わざわざマンションなんて買って、ひとり暮らしを始めたんだ?
恋人と結婚するためか? 2LDKなら新婚にはちょうどいいもんな」

ぐいっと力づくで翔平君に引き寄せられた私の体は、今にもその胸に抱きこまれそうなほどに近い距離に置かれた。

目の前にある翔平君の胸元。

薄いパープルのカッターシャツにグレーの細いストライプが目の前にあって、思わず手を伸ばしそうになる。

そして、シャツのボタンが目に入り、それをこの手で外してみたくなる。

翔平君の体温を直接感じたい。