初恋の甘い仕上げ方






尊敬できる人と一緒に仕事ができる今の事務所で働いている今をありがたくも思っている。

とはいえ、本命の企業との縁が途切れたあと、それならば私の生きる基準である翔平君に関わりを持てるようにと就職先を決めたことを、悔やむ気持ちもたしかにあった。

翔平君がその熱意とプライドを隠すことなく取り組む仕事に、迷いを伴う気持ちのまま私が触れてもいいのだろうかと。

今の事務所で仕事を始めたあとも、絶えず揺れていた。

けれど、一旦仕事を始めればこの世界の楽しさと魅力を知り、少しずつ仕事にも前向きに取り組めるようになった。

そしてようやく、自分が納得でき、そして多くの人の目に留まる仕事を終えることができたのだから。

「これからも頑張れって、この女の子が言ってくれてるみたいなのよね」

手元のペットボトルの中で笑う麦わら帽子の女の子に励まされ、私は仕事を続けている。

「翔平君みたいに大きな仕事を立て続けにこなせるほどの実力はまだないけど、自分に与えられた仕事は、しっかり取り組んでいきたいな、なんて。ようやく気づきました」

語尾を上げて、照れくささを隠すように言った。

何もかもを犠牲にして仕事に夢中になっているわけではないけれど、仕事によってもたらされる達成感は半端なものではないと、知ることができただけでも頑張った甲斐があった。

「萌。いい顔してる」

翔平君が、小さな声でつぶやいた。

「むかつくくらい、いい顔してる。それに、いつの間にそんないい女に……いや、いいんだ」

「翔平君?」

翔平君の小さな声を、はっきりと聞き取ることはできなかった。

一歩翔平君に近づき、その顔を見上げると、翔平君も私をじっと見つめる。

その瞳に今までと違う熱を感じるのは、気のせいだろうか。

思いがけなく気持ちが大きく揺れる。