私は両手を翔平君の首に回して体ごと距離を縮めた。

「今日の萌ちゃんは、積極的だな」

キスをやめることなく吐息でそう言った翔平君の声もなまめかしくて、腰に響いた。

腰から下に力が入らないほど刺激的な翔平君の声と表情に、思わずふうっと息を吐いた。

すると、翔平君の唇が私の耳へと動き、舌で私を可愛がる。

その甘い行為に体中が震えながら、更にぎゅっと翔平君を抱きしめて。

「これからも、私が翔平君の人生を作っていきたいし、翔平君にも私の人生にいて欲しい」

いつの間にか私の胸に延びてきた翔平君の手から逃げるように笑い、そう言った。

それでも諦めることのなかった翔平君は、「年が離れてるっていっても、ふたりともアラサーのいい大人だよな」と言って。

その色気にぼーっとしている私をすっと抱き上げたかと思うと、足早に寝室へと行き、ベッドに私をおろした。

「……やっぱ、桃みたいに体全部がピンクになってるな」

私の服を次々と脱がせていく手慣れた様子から翔平君の過去の恋愛が見えた気がした。

そのことにほんの少しだけ悲しい気持ちを感じながらも、過去は過去だから仕方がないと我慢した。

「ん? どうした? やっぱり、怖いか?」

翔平君は、私の顔の左右に両ひじをついて、気遣わしげに私の顔を覗き込んだ。

「不安かもしれないけど、俺は萌を抱きたい。成長を待ち続けるのも限界だし、萌の全てを俺のものにしたい。もう、限界だ」

愛するひとから、甘いだけでない力強い言葉で求められて、嬉しくないわけがない。

ベッドに体を預けているというのに、ふわふわとした感覚が体を包む。

「不安じゃないけど、でも」

私は首を横に振って翔平君の頬をゆっくりと撫でた。

「不安じゃないけど、心配なの。これからは、貧弱このうえない私だけで我慢してもらいたいけど、自信もないし。でも、私だって、翔平君が他の女の人と一緒にいるのを見るのは苦しくて限界だから……」

最後は途切れがちになった私の言葉に翔平君は「萌……」と苦しげな声をあげたかと思うと、勢いよく私の体に覆いかぶさってきた。

「我慢なんかじゃない。萌さえ抱ければ、他に誰もいらないんだ」

私の全身を這う翔平君の指先に体は跳ね、それが合図のように翔平君との初めての甘い時間が始まった。