「言ったでしょ? 翔平君があのとき無事で良かったって。こうして一緒にいられることほど幸せなことはないって、あれほど言ったのに、結局私の言葉は無視されたってこと?」
「そうじゃない。違うんだ」
「違わない。私の人生に立ち入らないようにして、気にしていたんじゃない」
「だから、違うって言ってるだろ、黙って聞け。萌の人生に立ち入るのはやめようって、あの事故のときには思った。だけど、それは過去形だ。萌が仕事でヒット商品を出すほどの成長をして、久和さんのような仕事がデキるひとからオファーがあるなら、もう俺が何をどう言おうが自分の実力で生きていけるって、そう思ったんだよ」
「……どういう、こと?」
翔平君の大きく激しい声に、私はうろたえた。
「実力で生きていけるって、言われても」
かすれた声でそうつぶやいて、深く息をついた。
自動販売機のデザインのことや、翔平君が抱えていたらしい思いを聞かされて、かなり混乱している。
おまけに普段とはまったく違う翔平君の激しい口調に驚いて、何をどう答えていいのかもわからない。
翔平君は、私の両手を自分の肩からそっとおろし、そのまま私の体を抱きしめた。
お互いの体が触れ合うぎりぎり、そして私がいつでも離れることができるような優しい力で私をその胸に包み込む。

