初恋の甘い仕上げ方





普段よりも軽やかな口ぶりと楽しそうな表情につられて、私も頬が緩むのを感じた。

だけど、さっきも「我慢」という言葉を口にしていたけれど、翔平君は何を我慢しているのだろうかと、ふと思う。

すると、私の戸惑いを察したかのように、翔平君の笑顔が大きくなった。

「前も言ったけど、萌の人生を変えてしまったことに責任を感じていたから、たとえ今同じ業界にいても口は出さず見守るだけにしようと思ってたんだ。別府さんの事務所にいればそれだけで勉強になるし、俺が口をはさむよりもいい経験をさせてもらえるってわかってたし。これ以上萌の人生に立ち入ることを我慢していたんだ」

「は? なにそれ」

翔平君が口にした「責任」という言葉に、ぴくりと反応した。

「まだそんなこと思ってたの? 私があのとき、採用試験よりも翔平君を選んだのは私自身だし後悔してないって何度も言ってるのに」

翔平君の両肩を掴み、強い口調で言った。

これまで何度も「気にしないで」と言っていたのに、翔平君には私の気持ちは伝わっていないどころか不要な気遣いまでされていた。