初恋の甘い仕上げ方





お風呂に入ったあとTシャツとスウェット姿の翔平君の顔を覗き込むようにして、答えを待つ。

「裏でも表でも、俺は何もしてない。だけど、久和さんに相談されたときには是非萌と一緒に仕事をさせて欲しいってことは言った」

「やっぱり。翔平君が久和さんに言って、あの仕事を無理矢理私に担当させたんでしょ。そんなズルしてまで仕事はしたくない」

「ズルじゃないし、無理矢理頼んだわけでもない。久和さんは萌の仕事ぶりを自分の目で見て決めたんだ。萌がペットボトルのラベルをデザインしていた頃、同時にこのプロジェクトが進んでいて、萌にも参加してもらおうって考えていたらしいぞ」

「そんな、嘘……」

翔平君の言葉が信じられず、私は呆然とした。

久和さんが宣伝を担当してヒットした商品は多く、彼と一緒に仕事をしたいと願うひとは多い。

デザイナーだけでなく、販売や物流に携わるひとにも影響を与え、ヒット商品を出して利益を得るという、会社経営の基本を改めて実感させられるという。

売れなければ意味がない。

そのための品質と戦略。

久和さんが部下に説くシンプルなことを、私も仕事で関わる中で教えられた。

そして最終的に結果を出すことができ、ほんの少し、自分にも自信がうまれた。

「久和さんのように仕事のできるひとが、私を気にかけてくれるなんて信じられない」

「……だろうな。俺も最初は驚いたんだ」

小さな声でつぶやいた私に、翔平君がにんまりと嬉しそうな表情を浮かべた。

「その話を久和さんに聞いたときにはまだ、萌が手がけたラベルのことも知らなかったんだ。『白石萌さんという若手のデザイナーさんがいるんだけど、復刻版の商品で組んでもらえないだろうか』って久和さんから依頼されたときは本当にびっくりした」

「……そうだよね、きっと」

私は翔平君の言葉に曖昧に頷くと、膝立ちしていた体を一気にラグの上になげだした。