「で、二年後の最後の商品なんだけど。設置場所はアマザンホテル一か所だけなんだ。アマザンホテルのイメージカラーはサーモンピンクとオフホワイト。設置される自動販売機もその色に合わせる。アマザンのイメージカラーに合わせた桃のジュースが今回のプロジェクトのラストを飾るんだ。おまけに、その商品だけは期間限定じゃなくてレギュラー商品として販売が続けられるんだ」
そういえば、アマザンホテルのロビーに足を踏み入れるとすぐにサーモンピンクの床が目に入り、濃淡はあれど、館内のほとんどが同じ色合いのもので統一されている。
客室のタオルやバスローブも含め、翔平君がそのデザインを担当し好評価を得ている。
だからアマザンホテルでのみ販売されるというジュースもテーマカラーのピンクである桃に決まったんだろう。
となると、自動販売機の色もサーモンピンクになるのかな。
たった一種類のジュース専用の自動販売機となれば、そのジュースに合わせたデザインが採用されるだろうし、それもまた翔平君がデザインすることになるんだろうな。
あ、でも。
翔平君はさっき、私に自動販売機のデザインをしてみないかと言ってくれたけど、桃のジュースと何か関係があるのだろうか。
……まさか、そんなことあり得ない。
こんな大きなプロジェクトを成功させるために翔平君をはじめたくさんの著名なデザイナーが結集しているとも聞いているし、私がそこに呼ばれるわけがない。
翔平君が大きな仕事をするのなら、私にできるのは翔平君の体調を気にしてみたり、ほんの少しでもストレスが軽くなるように笑顔でいることくらいだ。
そうは言ってもそれってかなり素敵なことで、是非とも翔平君のそばで笑っていたいなと思いながら、軽い気持ちで翔平君に視線を向けたけれど。
「俺がペットボトルのデザインをして、萌が自動販売機のデザインをすることになった」
翔平君が口にした言葉は、私の予想を大きく超えたものだった。

