それぞれの商品の販売期間は三か月と決まっていて、どんなに売り上げが良くてもそれ以降の販売はないという。
翔平君が第一弾のデザイン担当に指名されたのは一年ほど前で、プロジェクトの大きさと責任の重さに驚いたらしい。
おまけに担当する商品は思い出深いオレンジジュースだ。
断る理由などなく、翔平君が抱えていた仕事の量の多さを忘れて引き受けてしまったのも納得できる。
オレンジジュースが関係した美乃里さんとの思い出を聞いたあととなれば、尚更だ。
翔平君がオレンジジュースの担当として指名されたのはまったくの偶然らしいけれど、そこもまた彼の強運を表している。
おまけに復刻版第一弾だけでなく、二年後の最後に登場する商品も担当することが決まっているらしい。
二年後の発売に向けて年明けから打ち合わせをするらしいけれど、そのことが、翔平君が私に言った「自動販売機のデザイン」というのに関係している。
今回のプロジェクトでは、復刻版の商品それぞれをイメージした自動販売機を数台作り、全国のどこかに設置する。
第一弾のオレンジジュースにデザインされているすっとぼけた太陽がどんと大きく描かれた自動販売機も全国に数台、設置されるということだ。
もちろんそのデザインは翔平君が手がけていて、既に完成しているらしい。
設置される場所も決まっていて、発売日前夜にひっそりと運び込まれる。
現在、その流れすべてが極秘に進められていて、小椋君からの質問に久和さんが何も答えれられなかったのも理解できる。
大企業が進めるプロジェクトだから、かなり大がかりだろうとは思っていたけれど、その規模も期間も予想以上のものだった。
自動販売機だけでは消費者の手元に行き渡るわけもないので、通常の流通ルートにのってコンビニやスーパーなどでも売られるらしいけれど、自動販売機は全国でも数台。
かなりの話題を呼びそうだ。
「で、俺がデザインすることになっている、最後の商品なんだけど」
「あ、うん」
プロジェクトの詳細を聞くにつれて、そんな大きな仕事に指名される翔平君の凄さを改めて感じていると。
ソファに並んでいる体を私の正面に向け、翔平君がきりりとした表情を作った。
私もつられて向き直り、そのとびきり素敵で惚れ惚れする……ではなく、私に真面目な話をしようとしている翔平君を見つめ返す。

