初恋の甘い仕上げ方






翔平君と太陽を交互に見ながら考えていると、翔平君が姿勢を正し、表情をすっと引き締めた。

緊張感を漂わせるほどの、なにか私に伝えたいことがあるんだろうけれど、私はこんなときにもまた、翔平君の整った顔に見惚れて瞬きも忘れるほど。

そんな自分にあきれつつ、翔平君の口元がきゅっと結ばれる様子にドキドキしている。

翔平君のことを、本当に好きだなあとしみじみ実感している自分にこれではだめだ、と叱咤しながら、翔平君の言葉を待った。

すると、私に向き合った翔平君は、がくりと肩を落とした。

「萌……。頼むからその大きな目でじっと見るのは、とりあえず今はやめてくれ。決心が鈍る」

「決心?」

「ああ。今年に入ってからずっと悩んでたんだ」

「今年? 今十二月だし、ってことは一年間も悩んでたの?」

「悩む……そうだな一年間、ずっと悩んでた。もっと言えば、この五年間どうすればいいのか悩んでたな」

「五年……」

五年という言葉に、どきりと反応した。

私にとっては心から望んでいたわけではない仕事に向き合い、やりがいと喜びを手に入れようと頑張っていた歳月。

翔平君にとっては事故によってトラウマを抱え、克服しようと静かにもがいていた期間。

人生の大きなターンとなったあの事故を思い出して、気持ちを整える。

今では深く考える機会はそれほどないとはいえ、翔平君が今でも傘を見れば緊張する原因となったあの事故。

五年と言えばそれを連想することがわかっているのに、わざわざそれを話題にするなんて、一体何があったんだろう。

表情が変わったに違いない私に気付いたのか、翔平君の手が伸び、私の手を握ってくれた。

「それほど構えることじゃないんだけど、いや、それも違うか。萌にとっては、自分の未来を変えるかもしれないことだし」

「翔平君……」

もったいぶってるわけではないだろうけれど、私を気遣う声音に焦れてしまう。