けれど、元来が世話好きで困っているひとを放っておけない母さんはそんなことお構いなしに翔平君を我が家に呼び面倒をみていた。
最初は遠慮していた美乃里さんも、母さんの性格に逆らうことはできず、恐縮しながらも母さんに翔平君をお願いしていた。
そのお礼というわけではなかっただろうけれど、翔平君のご両親のコネで手に入りにくいコンサートのチケットをもらったり、時には撮影現場にお邪魔させてもらったりもした。
母さんの図々しさに驚くこともあったけれど、今振り返れば、そうやって美乃里さんから何かと融通してもらうことで彼女の遠慮や申しわけなさを少しでも軽くしようとしていたとわかる。
翔平君が大学生になって独り立ちして以降、時々我が家に泊まりにくることはあっても美乃里さんからは何ももらうことはないことからもわかる。

