「あ、翔平君……私」
「……誉めてもらって良かったな」
「う、うん」
予想外の想いが胸の片隅に生まれたことを、何故か翔平君には知られたくなくて口ごもった。
私のことならなんでもお見通しの翔平君のことだ、そんな私の心の動きに気付かないわけはないだろうけれど、何を聞いてくるでもない。
穏やかに口元を上げ、私を見つめている。
そのとき、それまで黙って話を聞いていた小椋君の声がその場に響いた。
「そういえば、昔ヒットした商品の復刻版が近々発売されるんですよね」
「え? なにそれ」
私の右隣でオムライスを食べている小椋君が、思い出すように言葉を続ける。
翔平君の視線も、私から小椋君へと移り、私も気持ちを切り替えるように小椋君と久和さんへと意識を向けた。
そして、久和さんたちに質問を投げかける小椋君の言葉を聞いていると、以前売れ行きの良かった商品の中で現在は販売されていない商品のいくつかを期間限定で発売するということらしい。
長い歴史と多くのヒット商品を持つ会社だからこそできることだろう。
子どもの頃の記憶の中にあるいくつもの商品が浮かぶ。
とはいえ、飲料水は毎月多くの新商品が投入されていて、販売が継続されるものはほんのわずかだ。
当時私が大好きでよく飲んでいた商品の中で今も販売されている物だってほとんどない。
その現実を考えると、私が久和さんとともに関わっている商品がヒットしたのは奇跡に近いのだ。
それに、一度ヒットしたからといって、永遠に店頭に並ぶわけでもない。
時代の流れと嗜好の変化によって姿を消すのは当然のことかもしれない。
久和さんの部下の男性たちは、小椋君の言葉に顔を見合わせた。
どう答えればいいのか、戸惑っているようだ。

