やはり気持ちは弾むけれど、一方では胸の奥にしまっていた思いが顔を出し、複雑な感情も見え隠れする。
『自分が興味のあるもの』と言われて、真っ先に思い浮かんだのはやはり、オレンジジュースを買うことができなかった自動販売機だ。
自分が設計した自動販売機が街中に並び、子どもでも誰でも、欲しいものを買ってもらいたいと思い、その道に進むために勉強していたけれど。
五年前のあの事故によって翔平君のそばにいることを選んだ私は、その夢を手放したのだ。
今更それを思いだしても仕方がない。
それに、あのとき翔平君のもとに行かずに採用試験を受けて内定をもらったとしても、そのことを後悔したに決まっているのだ。
大切な人を放り出して夢に向かったことで自分を責め、悔やむ日々を送っていたに違いない。
たとえ今、私が設計した自動販売機が世の中に受け入れられていたとしても、翔平君の隣りで笑っていなければ、意味がないのだから。
その思いに嘘はないし、これからもそれが変わらない自信はある。
翔平君と気持ちを寄り添わせた今なら尚のこと、あの時の自分の決断は正解だったと何の迷いもなく言える。
けれど、その思いとは別の場所に残されたはずの、そして長く持ち続けていた夢の欠片が私を刺激している。
久和さんの言葉によって引き出されたその思いに焦り、私は思わず翔平君に体を向けた。

