「白石さんは、もう少し欲を出して、自分が挑戦してみたいものに素直に向き合ってもいいのではないかと思います。あ、これは別府さんもおっしゃてましたよ」
「挑戦?」
「そうです。与えらえた仕事をしっかりと進めるのは当然ですが、本当に興味があるものや、こんなデザインを描いてみたいと思うものがあれば、自分から売り込むくらいの欲を持ってもいいと思います。長年たくさんの方と仕事をご一緒してきましたが、白石さんにも小椋さんにも、その力はあると思います」
温かくもどこか鋭い声音に、私と小椋君は黙り込んだ。
普段からこうして丁寧な言葉遣いと態度で接してもらっているとはいえ、自分たちの親と同世代の大先輩だ。
その言葉には重みがあり、真摯に受け止めなければいけないという雰囲気もある。
おまけに、努力次第では私と小椋君の将来は明るいと、励みになる言葉をかけてもらえて嬉しくないわけがない。
「あ、ありがとうございます」
私よりも先に、小椋君がそう言って頭を下げた。
私もそれに促されるように体を折り、その言葉の意味をかみしめる。

