初恋の甘い仕上げ方





「白石? どうかしたか?」

俯いた私の顔を、小椋君が覗き込んだ。

「あ、大丈夫……ちょっと驚いただけ」

私は小椋君と久和さんに笑顔を向け、「三崎さんがCMに出てくれるのなら鬼に金棒ですね」と言って落ち込んだ気持ちをごまかした。

えへへっと笑い、沈みそうになる気持ちを無理矢理盛り上げる。

嘘を言わない翔平君のことだから、きっと私が三崎紗和さんとの関係を聞けば答えてくれるだろうけど。

やっぱり聞かなくてもいいや。

今は私を愛していると言ってくれる翔平君の言葉がすべてだ。

それだけでいい。

うんうんと頷いてそう納得した後、工場の人が会議室の片づけを終えたのを確認して、荷物を手にした。

「では、火曜日に手直ししたものを送りますので、よろしくお願いします」

久和さんをはじめ、宣伝部から来られていた方に挨拶をし、頭を下げた。

三崎さんの名前を聞いて動揺した心を落ち着かせるようにひと呼吸置き、ゆっくりと頭を上げる。

周囲の人に私の動揺が見抜かれたわけではないけれど、普段どおりの表情を作れているのか気になった。

工場の人から「お疲れ様でした」と声をかけられ、会議室を出るように促された。

フル稼働しているのは工場のラインだけではなく会議室も同様で、このあともこの部屋を使う予約が入っているらしい。

皆で部屋を出たあと、ロビーを抜けて駐車場へ向かった。

「白石、送ってやるからその前に向かいのファミレスで何か食べよう。ファミレスでランチなんて大学生のカップルみたいだろ?」

隣を歩く小椋君が、声をかけてくれた。