私がどれだけリボンを大切にしているのかを切々と説明するのにもちゃんと付き合ってくれたし、お詫びにと言って赤いベルベットのリボンをプレゼントしてくれた。
雨降って地固まるという言葉どおり、その後高校卒業までずっと、小椋君とはつかず離れずの親しい関係が続いた。
全国模試順位一桁の小椋君が進んだ大学は翔平君と同じ大学だったけれど、もちろん国内最高学府であるそこに私が入れるわけもない。
翔平君は既に卒業しているとはいえ、同じ大学に通うことができる小椋君が羨ましくて仕方がなかった。
別々の大学に進学した私たちの縁は、一旦は高校卒業とともに薄くなったけれど。
就職先は同じ「別府デザイン事務所」だった。
翔平君と同じ大学の出身なのだから、大手であり翔平君が働く「片桐デザイン事務所」に就職することも可能だったはずなのに。
どうして社員も少なくて派手な仕事も少ない……なんて言うと別府所長が苦笑いしそうだけど、今の事務所に就職したのか、よくわからない。
これまで何度か聞いたことがあるけれど、いつも「なんとなくこっちのほうが気になって」としか答えてくれなかったな。
頭のいい人の考えることはよくわからない。
考えてみれば、私だって本命企業を諦めたあと、流れに任せてこの事務所に就職したのだから、それも「なんとなく」といえるのかもしれない。
どんな理由やきっかけがあったにせよ、小椋君と再会して以来、私たちの縁は再びつながり、いい付き合いを続けている。
ふたりで同窓会に顔を出せば周囲から「このまま結婚しちゃえ」からかわれたりもするけれど、そんなのありえない。
私はずっと翔平君に恋していたし、小椋君にも恋人がいてそろそろ結婚するんじゃないかと私は思っている。
就職してすぐに一度だけ彼女を紹介してもらったけれど、背筋が伸びた綺麗な立ち姿が印象的な人だった。
大学時代のバイト先で知り合ったという彼女と別れたという話は聞かないし、彼女のことを聞くと「俺のことはいいから」と照れて言葉少なにはぐらかす様子はとても新鮮だし。
早く結婚すればいいのに。
なんてことを他人事ながら勝手に考えていると、目の前の小椋君が再び話しかけてきた。
「じゃあ、引っ越し祝いは何がいいか考えておけよ。仕事も順調だし、その打ち上げも兼ねて飲みに行ってもいいぞ」

