初恋の甘い仕上げ方





よっぽど身長のことを気にしていたんだなと気づいて驚いたけれど、その後中学、高校と同じ学校に進み、ぐんぐんと背が伸びていく小椋君を見るのは私の楽しみのひとつとなった。

中学以降、バスケ部でその才能を開花させた小椋君は身長だけでなく学力の伸びも半端なものではなく、全国模試の順位で一桁を叩き出すことも多かった。

バスケで鍛えられた体型と、笑うと子どものようなくしゃりとした顔。

いたずら好きな明るい性格も相まってかなりの人気者となった彼との12年間の思い出は楽しいことばかりだけれど。

ふたりの距離が縮まったきっかけは、小椋君のたわいもないいたずらだった。

『毎日このリボンつけてるんだな』

小学校の書道の時間、私が頭につけていた翔平君にもらったお気に入りのリボンをほどいた小椋君。

お兄さんはいても姉や妹がいない小椋君にリボンに触れる機会はそれまでなくて、リボンが簡単にほどけてしまうことやその軽さを、彼は知らなかった。

軽い好奇心といたずら心。

つい触れたリボンは小椋君の指の間をするりと抜けて落ち、そのまま墨汁が満ちていたすずりに吸い込まれていった。

それを見た私はショックのあまり声も出ず、気づけば小椋君の頬をグーで殴ってしまった。

普段おとなしくて感情を大きく荒げない私のその一発はクラスに大きな衝撃を与え、もちろん小椋君本人が一番びっくりしていた。

そして、双方の親が学校に呼び出されての謝罪合戦。

小椋君のご両親は「女の子はいたずらするものじゃなくて守ってあげるものだ」と言って小椋君を叱り。

私の両親は「男の子にからかわれてもそれを笑って受け止める余裕が女の子には必要だ」と言って私を諭した。

暴力はいけないけど、小椋君ももう少し落ち着こう、という先生の言葉によりけんか両成敗。

私と小椋君はともに謝り、そしてそれをきっかけに何故か仲良くなった。