ほかにもまだ言える。

翔平君への想いを口にしてもいいとなった途端、ため込んでいた感情が次々と口を突いて出てきて止まらない。

「それにね、…っ翔平くん?」

「黙れ。これ以上何も言わなくていい」

「い、言わないけど……く、くるひー」

自分から抱きついていたとはいえ、その私を抱え込むように強く抱きしめられて、息が詰まる。

けほっと咳込んだ私にお構いなく、翔平くんの力はすべて私に注がれている。

「わかってるつもりでいたけど、甘かったな。萌が俺のことをどれだけ好きか、ようやく実感した」

「う、うん……」

「だから、俺はこの先どんなにみっともない姿を見せてでも、どれほど萌を独占したくて格好悪いことをしようとも、構わず自分の気持ちを貫くから、覚悟して付き合え」

「それは、もう。よ、よろこんで」

言葉は乱暴だけど、その声音の中にある優しさと不安定さに気づかない振りで、私は大きく答えた。

そして再び抱きしめられて。

「しょ、しょーへーく……ん。くるしいんだ……けど。こほっ」

再び何度か咳込んだけれど、翔平君の腕の力が弱まることはない。

私は、長い間欲しいと願い、そして諦めていた温かさに浸りながら、これ以上はないというほどの幸せに浸っていた。




翔平君が苦手な雨が、朝にはやんでいますようにと願いながら。