まわりが慌ただしい中、いきなり空が緑色になった。そして、真ん中に丸い穴が開き、そこからマントを被った大きな人が出てきた。

あまりにも突然で皆ざわめきはじめた。そのときに、ローブの人が口を開け、言い出した。

「始めましてプレーヤーの諸君。私は、橘 美羽(たちばな みう)。詳しい人なら知っていると思いますが。」

知ってるも何も、この人、橘 美羽はこのゲームの制作者だ。

しかし、何でこんな風にして橘は出てきたかが分からない。βテストの時は橘は一切出てこなかったはずだ。今さら何のようだと思っていると、そのときふと思い付いた。もし、このゲームの作者ならこの事態をもう既に把握しているんじゃないかと。

やはり、他の人も同じようなことを考えていたらしく、次々に橘にせめるかのように言った。

「おい、このゲームの作者ならこの事態を把握してるはずだろ？早く対処してくれよ！」

「そうだよ！ログアウトボタンが無いってどういうことなんだ！」

ログアウトボタンが無い!?それについては気がつかなかった。

早速手をふり、メニューを開きオプションを開いたが、皆が言うようにログアウトボタンが無くなっていた。これではログアウト、現実世界に戻ることが出来ない。