『瑞穂、寂しいんじゃないかなぁって。』
「なっ…」
『俺が寂しいからよ。』
「……え……」
――ドキッ。
『瑞穂、浮気してないよな?』
「は、はい?」
『したらどうなるかわかってるか?』
お、脅しっすか?
「しないよ!信じて。琉、本当疑い深いんだから…」
『当たり前だろうが。遠距離だぞ?何があるかわからない…』
「わ、私だって心配だよ…琉の事。」
『……え……』
「日本じゃないから琉に何かあってもすぐに会いに行けないもん…」
『大丈夫だよ、俺は。』
「本当かな?琉は性格やばいし…トラブル起こしそう…」
『はぁ?』
「大丈夫?人がむかつく事言ってない?」
『言うかよ!』
「言いそう…」
『バーカ。そういうお前は一人で大丈夫かよ?』
「へ?」
『泣いてたりして…』
「ば、ばか。泣かないよ!」
『へぇ。本当かな?』
「本当だよ!」
『俺は寂しくて泣くかも。』
「そういえば私…琉が泣いてるの見た事ないかも…」
『あはは!俺、瑞穂には弱み見せたくねぇからな!』
「えー?」
『あーあ…ロスつまんねぇ。瑞穂いないから命令誰にもできねぇよ。』
「な、何それ…」
『瑞穂を困らせるの好きだからよ。』
「何それ…」
『仕事早く終わるようにするから。』
「う、うん…」
『それまでちゃんといい子にしてろ。』
「いい子って…」
『今はすっげー我慢しよう、お互いに。』
「そうだね…」
その後は沈黙……
どうしよう、何か話さなきゃ。
「り、琉…まだ切らないで。」
『……え……』
「もう少しなんでもいいから話して?」
『わかった。俺も電話切りたくないし…。』
受話器から響く琉の声が
ただ今日は愛しかった…。


