「瑞穂、どうしたんだよ?」


「え?」


「さっきから元気ない…」


「…………。」


さっきから琉が秘書さんに言った言葉が頭から離れない。


やっぱり私も浴衣着たかったよ。


秘書さんみたいに綺麗じゃないけど…。



すると


「もしかして妬いた?」


琉は私に聞く。


……え……


「なっ……」


「へぇ。妬いたんだ♪」


琉はにやにや笑いながら言う。


「……うっ……」


「俺は瑞穂だけなんだぞ?」


琉はそう言うと私の髪に触れる。


「なっ…」


「俺が瑞穂に浴衣着せなかったのは綺麗だからだよ。」


「え?」


「他の男に見せたくないからだし。」


…琉…。


「う、うん…。」


すると


「……っ……」


琉はいきなり私のおでこにキスをする。


「俺が好きでいてやるのは瑞穂だけだ。信じやがれ、バカ。」


「うん。」


「よし、一通り見たし…そろそろ行くか。」


「……え?」


「花火。行くんだろ?」


「う、うん!」


私と琉は手を繋ぎ河原に向かう。



花火……かぁ。







―――………





〈ドーーンッ〉


「わ、綺麗…。」


――私と琉は河原に着くと手を繋ぎ花火を見る。

花火久しぶりだぁ…。


すると


「瑞穂。」


「ん?」


私は琉を見る。


すると


………!?


琉にいきなりキスされた。


深い深いキス。


聞こえるのは花火の音だけ。


忘れられない夏の夜のキス…。








――琉が旅立ったのはその次の日だった。


「行って来る。」


「うん。」



行く前に琉は私に深いキスをした。


そして終わると


「続きは帰ったら。」


と言って家を出た。


私はベランダからただただ琉の後ろ姿を見ていた。


今日から遠距離恋愛。