そんなことを思っていると
「そうかい。やはり咲良ちゃんに入居してもらったのは間違いではなかったようだ」
なんとも優しい顔で笑った晴さんに、こっちまで笑顔になる。
「咲良ちゃん、ありがとうね」
「そんな…気になさらないで下さい。こちらこそお礼を言わなければならないのに」
優しい笑顔のままお礼を言ってくれた晴さんに慌ててそう言う。
「こんな不良女にいつも優しくしていただいて感謝しています。晴さんには頭が上がりません」
「咲良ちゃんは不良なんかじゃないさ。いつも大変なのをちゃんとわかっているよ。辛くなったらいつでも頼ってくれて構わないんだよ」
頭を下げたあたしに晴さんの慈愛に満ちた言葉が優しく暖かい光のように降り注いでくる。
こんな優しい言葉、泣けてしまう。
「ありがとう…晴さん」
「こちらこそ。
あっ、そうだ。ちょうど友人から美味しいお茶菓子をいただいたんだよ、持ってくるから待っておいで」
優しいこの人は、涙を堪えるあたしに気づいて優しく話をすり替えてくれた。
本当に、素敵な人だ。

