「あ。」


俺はふと声をあげる。


「すげー!虹!」


「え?」


彼女は上を見上げて、空を見る。


「…どこ?」


「ほら!虹!」


俺は携帯の画面を見せる。


「え?」


「虹だろ?」


「…どう見ても七色の色があるだけじゃない。」


そう。虹ではなく、七色の色の画像を見せてみた。


「もう!紛らわしいこと言わないで!」


「さーせん。」


「ふふ。でも虹色とも言うね。」


そう言って笑う真中さん。

そこにはもう、切なげに笑う彼女はいなくて。


ああ。この笑顔じゃなくちゃ。


そんな事を思いながら、俺は空を見上げて笑った。