「私が言ったんだよ。」


遠くを見て言う真中さん。


これは…。
きてるんじゃ…


「春樹くんは、もう思い出してはくれないの?」


え……?


そう言って俺を見つめる真中さん。


切なげに笑う彼女を見て、デジャヴのように蘇る記憶があるのに気づく。


知ってる…。

俺は彼女を知っている。


確実にそう言えるのに、引っかかる記憶を思い出す事を、心の中で拒んでいる自分がいる。