「どうした春樹?」


心配そうに俺を覗き込む俊太。


「なんか…見たことある気がして。」


そう。遠い昔に、彼女を見たことがある。


「名前も知ってるのか?」


「わかんね…。」


思い出そうとしても、頭が痛くなるだけで何も思い出せない。


「ま、いっか。」


「は!?」


「思い出せないものはしゃーない。てかさ!もしかして俺、春が来てない?!」


俊太は呆れ顔をして溜め息をついているが無視。


「きてんじゃねーの?」


「だよな?うっしゃー!」


屋上のど真ん中で叫ぶ俺。


俺にもとうとう、春がきそうです。